鹿児島県大口市にある旧曽木第2発電所遺構は、知る人ぞ知るヘリテージングの名所。産業観光や産業遺産に関心がある向きにはあるコトで有名な場所だ。そのウワサをこの眼で一度確かめたいと思っていた。鹿児島市で行われた観光フォーラムに出席した折、県内の観光資源を見て回るバス・ツアーに参加した。 一行を乗せた観光バスは九州自動車道を北上、大口市に向う。なんでも知っているガイドさんは曽木発電所についても到着前に予備知識を与えてくれた。バスを降りてからついひと声かけたくなった。 「ガイドさん、さすがによく知ってるね」 「すみません。一夜漬(いちやづ)けです」 「え! 何度か来てるんでしょう」 |
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「いいえ、まったく知らなかったです。いいとこですね、お客さん」 バス会社を責めるべきか、それとも責められるべきは曽木発電所なのか。 曽木発電所は明治42年に建設されたがその後、昭和40年に下流の鶴田ダムの完成により60戸の民家とともに人工の湖に沈んだ。 それから8年、川内川(せんだいがわ)治水計画の見直しで、雨量の多い夏場にダムの水位を下げたところ、レンガ造りルネサンス様式の発電所が、水没による損耗にも耐え忽然(こつぜん)と姿を現した。ミステリアスな現象に人々は驚きの声をあげた。それ以来、毎年5月から9月の間だけ、ヨーロッパの古城を思わせるような明 |